顔面神経麻痺と診断され、「少しでも回復を後押しできることを、食事の面からもしたい」と考える方は多いです。
この記事では、東洋医学(薬膳)の視点から、回復しやすい体を内側から支える食べ方と、当院でアドバイスしている具体的な食材・メニュー例・1日の食事例をまとめました。
| ⚠ はじめに:食事は治療の代わりではありません
食べ物で顔面神経麻痺が治るわけではありません。この記事は「治す食事」ではなく、医療の治療と並行して回復しやすい体づくりを支える食養生の考え方です。 顔面神経麻痺は、発症からできるだけ早い時期の医療的な治療が回復に大切です。まだ受診していない方は、脳神経内科・耳鼻咽喉科などをできるだけ早く受診してください。 また、持病がある方・薬を服用中の方は、食事内容を主治医・管理栄養士にご相談ください。 |
東洋医学では顔面神経麻痺をどう考える?(仕組み)

東洋医学では、顔面神経麻痺を「風邪(ふうじゃ)が顔の経絡(けいらく)に入り込み、気血(きけつ)の巡りが滞った状態」と捉えます。
「風」は動きや変化を象徴する外からの邪気で、冷えや疲れで体の防御力(衛気=えき)が落ちているときに入り込みやすいと考えます。
つまり、顔面の巡りが滞り、それを立て直す土台(気血)が不足している。だから食養生では、滞った巡りを動かし、気血を補い、土台となる胃腸(脾胃)を温めて元気にすることを目指します。
ここから、次の4つの方針が決まります。
薬膳の4つの方針

風を散らし、巡りを動かす
顔に入り込んだ「風」を追い出し、滞った気血を動かすイメージです。香りや辛味で発散させる食材が向きます。
- しょうが・ねぎ・青じそ・みつば・パクチー
- くず(葛湯)・シナモン(少量)・みかんの皮(陳皮)

気血を補う
麻痺した筋肉や神経の回復を支える“材料”を補います。良質なたんぱく質と、血を養う食材を。
- 鶏肉・卵・白身魚・レバー(少量)、タコ
- なつめ・黒豆・ほうれん草・にんじん・黒ごま

脾胃を温めて土台をつくる
気血をつくる大もとは胃腸(脾胃)です。冷えを避け、温かく消化のよいものでベースを整えます。
- 米(うるち米)・かぼちゃ・山芋・じゃがいも
- 味噌・温かい汁物・スープ

④ “風”や“湿”を呼び込む食べ方を避ける
巡りを妨げ、体を冷やす食べ方は控えめにします。
- 冷たいもの・氷入りの飲み物・生ものの摂りすぎ
- 脂っこいもの・甘いものの摂りすぎ
- アルコールの飲みすぎ(“風”や“湿”を助長すると考えます)
回復を支える「1日の食事例」

「温めて・巡らせて・補う」を意識した一日の組み立て例です。
| 朝食 | しょうが入り鶏と根菜のあたたかお粥/味噌汁(豆腐・ねぎ)/温かいお茶 |
| 昼食 | ねぎと卵のあんかけうどん(温)/ほうれん草のごま和え |
| 夕食 | ごはん/鶏肉とかぼちゃ・にんじんの煮物/山芋のすりおろし/わかめの味噌汁 |
| 間食・飲み物 | なつめとしょうがの葛湯/黒豆茶・常温〜温かい飲み物 |
※あくまで一例です。合う・合わないには個人差があり、持病や服薬中の方は主治医・管理栄養士にご相談ください。
まぶたや口が閉じにくく食べづらいときは、無理のない形状(やわらかめ・とろみ)に調整してください。
食事とあわせたいセルフケア
- 首・肩・お腹を冷やさない(“風”と冷えを避ける)。マフラーや腹巻き、蒸しタオルで温める
- しっかり睡眠・休養をとる(気血を養い、防御力を保つ)
- よく噛んで、温かい食事をゆっくり(脾胃をいたわる)
- 顔のツボ・セルフケアは別記事をご参照ください(関連記事:顔面神経麻痺のツボ4選])

よくある質問
Q. 食事で顔面神経麻痺は治りますか?
食べ物で治すことはできません。食養生は、医療の治療と並行して回復しやすい体づくりを支えるものです。まずは医療機関の治療を優先してください。
Q. 特に食べたほうがよいものは?
「温めて・巡らせて・補う」を意識し、しょうが・ねぎなどの香味、鶏肉・卵・なつめなどの気血を補うもの、米・かぼちゃなど脾胃を温めるものをバランスよく。特定の食材だけを大量に摂るのは避けましょう。
Q. 避けたほうがよいものは?
冷たいもの・生ものの摂りすぎ、脂っこいもの・甘いものの摂りすぎ、アルコールの飲みすぎは控えめに。東洋医学では“風”や“湿”を助長すると考えます。
Q. 口やまぶたが動かしにくく、食べづらいです。
やわらかめ・とろみのある形状にすると食べやすくなります。むせや誤嚥が心配なときは、主治医や管理栄養士に相談してください。
まとめ

- 食事は治療の代わりではない。まず医療機関で早期の治療を
- 東洋医学では顔面神経麻痺を「風+気血の滞り」と捉える
- 薬膳の方針は①風を散らす ②気血を補う ③脾胃を温める ④冷え・湿を避ける
- 温めて・巡らせて・補うメニューを、温かくバランスよく
- 持病・服薬中の方は主治医に相談を
| この記事の監修・執筆
菜の花はり灸院 院長 青木宏之 はり師・きゅう師・柔道整復師(3つの国家資格)/臨床14年/経絡治療(東洋医学) 大阪府堺市堺区北田出井町3-5-12 [院長プロフィールへ] |



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