「パンや麺が好きだけど、小麦は控えたほうがいいのかな」
潰瘍性大腸炎の方からよくいただく質問です。
結論から言うと、“小麦=悪”と決めつける必要はありません。
ただ、人によっては「減らすと調子がいい」と感じることもあり、ここには個人差があります。この記事では、その理由と、無理なく続ける具体策をまとめます。
「小麦=悪」ではない

小麦そのものが潰瘍性大腸炎を悪化させると科学的に証明されているわけではありません。
それでも「小麦製品を減らすと楽」という方がいるのは事実です。
大切なのは“決めつけずに、自分の体で確かめる”という姿勢です。
小麦が気になる人がいるのはなぜ(仕組みの整理)

「小麦で調子が悪い気がする」と感じるとき、その正体は人によって違います。
腸の粘膜には、必要な栄養を取り込みながら、不要なものは通さない「バリア(関門)」の働きがあります。
体調や炎症の状態によってこのバリアの働きが変化する可能性は研究されていますが、「特定の食品で腸がもれて全身が炎症する」といった単純な図式が医学的に確立しているわけではありません。
ネット上の情報は断定的に描かれがちなので、うのみにせず、自分の体で合う・合わないを確かめる姿勢が大切です。
多くの場合は①や②、③が関係するのは一部の人、という順に整理すると誤解なく理解できます。
① 一緒に摂る脂質・糖質と「量」
小麦製品は脂や砂糖と組み合わさりやすい食品です(菓子パン・揚げ物の衣・洋菓子・クリームパスタなど)。
脂は消化に時間がかかり、活動期の傷ついた腸には刺激・負担になりやすいと言われます。つまり、小麦ではなく、一緒に摂る脂や量”が響いていることが少なくありません。
② 小麦そのものの「量」と消化のしにくさ
ラーメン・うどん・パスタは一度に量が多くなりがちです。
やわらかいうどんは消化にやさしい一方で、つるっと食べられるぶん量が増えやすい、という二面性もあります。
③ グルテンへの個人的な反応
小麦のたんぱく質グルテンが関係する人もいますが、これは主にセリアック病など一部の状態で、潰瘍性大腸炎の方すべてに当てはまるとは限りません。
つまり、犯人は人それぞれ。だからこそ「小麦=悪」と決めつけず、まず自分の体で確かめることが役立ちます。
小麦を多く含む食品(チェック用)
- 主食・麺:食パン・菓子パン・うどん・そうめん・ラーメン・パスタ
- 粉もの:お好み焼き・たこ焼き・餃子の皮
- 衣・とろみ:天ぷら・フライの衣・カレー/シチューのルウ
- お菓子:クッキー・ケーキ・ドーナツ
米を中心にした「1日の置きかえ例」

小麦を完全にやめるのではなく、いくつかを米中心に置きかえるだけでも負担は減らせます。
| 朝食 | 菓子パン → **ごはん+卵・焼き魚**(または米粉パン) |
| 昼食 | ラーメン・パスタ → **ビーフン・フォー**、または定食(ごはん+おかず) |
| 夕食 | 揚げ物(衣=小麦) → **焼き魚・煮魚+ごはん** |
| 間食 | 菓子パン・クッキー → **おにぎり・米菓・果物** |
※小麦を完全にやめる必要はありません。置きかえの一例です。栄養がかたよらないよう、主治医・管理栄養士に相談しながら進めてください。
主食の置きかえの選択肢
- 白米・おかゆ(消化にやさしい)
- 米粉パン・米麺(ビーフン・フォー)
- オートミール(少量から)
- 十割そば(そば粉100%。そばアレルギーに注意)
作りおき・市販品・外食の選び方
- 作りおき:ごはんを一膳ずつ冷凍、米粉のお焼きや米粉パンをストック
- 市販品:米粉パン・グルテンフリー麺。ただし脂質・糖質が高い製品もあるので原材料を確認
- 外食:パスタ・ラーメンより定食・どんぶり・和食を選ぶと小麦を減らしやすい
薬膳・東洋医学の視点

東洋医学では、食材を「体を温めるもの・冷ますもの」に分けて考えます。小麦はやや体を冷ます性質(涼性=いわゆる陰性食材)をもつとされることがあり、お腹の冷えが気になる方や、冷えると不調が出やすい方は、量や食べ方を工夫すると安心です。
※薬膳での食材の性質には諸説あり、絶対的なものではありません。「東洋医学ではこう考える」という一つの目安としてお読みください。
冷やす食材は、温める工夫と組み合わせるのがコツです。
- 冷たいまま食べない(温かい状態で。冷やしうどん・冷製パスタは控えめに)
- 温める食材を添える(しょうが・ねぎ・みそ・温かいスープと一緒に)
- パンよりも、温かい汁うどんなど“温”の調理に寄せる
- 体を温める主食として、米(うるち米)は脾胃を補う食材とされ、置きかえに向いています
「小麦=冷やすから絶対だめ」ではなく、温かくして・温める食材と一緒に・量はほどほどに。これが胃腸(脾胃)をいたわる食べ方です。
冷たいもの・脂っこいものと一緒に小麦製品を摂りすぎないこと、よく噛んで温かくして食べることが、お腹をいたわる第一歩となります。
本寒標熱(ほんかんひょうねつ)

東洋医学では「本寒標熱(ほんかんひょうねつ)」、つまり“根っこは冷え、表面は熱”という二重構造で捉えます。
さらに、どちらが根っこかを表す言葉です。「本(ほん)=根本・土台」は寒(冷え)、「標(ひょう)=表面に出ている症状」は熱(炎症)。
つまり、根っこは冷え、表面に出るのは熱、という二重構造です。
体の奥(胃腸の土台)は冷えて力が落ちているのに、その結果として表面(大腸の粘膜)には炎症という熱が現れる。
血便や炎症という「熱」のサインがあっても、その奥に「冷え」が隠れていることが多い。これが、潰瘍性大腸炎を読み解くうえでの東洋医学ならではの視点です。
だからこそ、表面の熱(炎症)だけを冷やすのではなく、土台の冷えに目を向けることが大切になります。「お腹を温めるケア」を重視するのは、この本(根っこ)の寒にアプローチするためです。
よくある質問

Q. 小麦を完全にやめるべきですか?
- いいえ。完全除去が必要と決まっているわけではありません。一定期間控えて体調を観察し、変化がなければ無理に避ける必要はありません。
Q. パンが好きです。どうしても食べたいときは?
- 米粉パンに置きかえる、量を控える、脂・砂糖の多い菓子パンは避ける、などの工夫があります。我慢のしすぎはストレスになるので、ほどほどに。
Q. うどんは小麦だけど食べやすいのでは?
- やわらかいうどんは消化にやさしい一方で小麦製品でもあります。気になる場合は米麺に置きかえ、体調をみて選んでください。
まとめ

- 小麦が潰瘍性大腸炎を悪化させると証明されているわけではない
- 気になるのは“小麦と一緒に摂る脂質・砂糖・量”の影響もある
- 試すなら一定期間だけ控えて記録。完全除去の自己判断は避ける
- 主食は米・米粉・米麺などに置きかえられる
| この記事の監修・執筆
菜の花はり灸院 院長 青木宏之 はり師・きゅう師・柔道整復師(3つの国家資格)/臨床14年/経絡治療(東洋医学) 大阪府堺市堺区北田出井町3-5-12 [院長プロフィールへ] |
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療や効果を約束するものではありません。症状や食事については、必ず主治医・管理栄養士にご相談ください。

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